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映画 「心に吹く風」

ユン・ソクホ監督の劇場用映画第一作として全国紙でも紹介されていた割には上映館が非常に少ないのに、まずびっくりしました。「冬のソナタ」から早や15年。そんなものといえば、そんなものなのかもしれないと思いつつ、主演の眞島秀和さんのファンなもので、眞島さん見たさに出かけてきました。眞島さんって私は素敵な役者さんだと思うんですが、主演はあまり多くなくて映画でしっかり見られる機会は結構少ないのです。

公式サイトの予告編を見ると、どこか(主に「冬のソナタ」)で見たことのあるようなシーンがいくつかあって、多少は二番煎じを覚悟しましたが、実際に見てみると確かに見たことのあるシーンはそこここにあったものの、お話は四季シリーズとはだいぶ違いました。

ここからはネタバレです。
高校の時に知り合って恋に落ちた2人。
彼が東京の大学に進学するのを故郷の駅で見送った後、彼女の実家の様々な事情のため連絡が途絶えてそれっきりに。。。
どんな事情があったのかはわかりませんが、大学に入ったばかりの彼に連絡したら迷惑になるんじゃないかと気遣って、身を引いてしまったようです。
その後、彼は彼女を忘れることができず、結婚もしないでビデオアーティストになりました。
彼女の方は、現実を受け入れたのでしょう。その後 間もなく結婚し、娘を一人授かり、今は夫と姑との3人暮らし。(娘は札幌の大学に入って一人暮らし) かつての夢も諦めて、堅実に家庭を守る主婦になっていました。

そんな2人が23年ぶりにひょんなことから再会し、たまたま彼女の夫が出張中だったため、2日間彼の撮影につきあうことに…。
彼の方は、思いもかけない再会に最初はぎこちなかったものの、もう一度会いたいと思い続けてきた気持ちが抑えられず、どんどん彼女を引っ張り出します。(彼は独身だから、誰に憚る必要もないわけです。それから、これは私の私見ですが、彼女がなんだか幸薄そうな表情だったのも、気になったのではないでしょうか)

彼女の方は、家族を持つ身ですし、もともと真面目な性格らしく、彼に近づくまいとするのですが、少しずつ呼び起こされるかつての思い出に徐々に心を解き放たれていきます。

2人きりで2日半を過ごして、お別れ。その最後の場面で、映画やドラマでよくあるようなお別れができなくて、とんだ邪魔が入って(?) 一気に現実に引き戻されるように別れなければならなかったことに心が痛みました。

お話としては、かなり淡々と進んでいく方なので、すごくドキドキするとか、ときめくという感じではありませんでした。
ただ二人の心の動きを丁寧に辿る過程に、ユン監督ならではの素晴らしい映像美と、イ・ジスさんの美しい音楽が散りばめられていて、何とも言えない至福のひとときを過ごすことができました。

映画のタイトルにもある「風」を、木の葉のざわめきやウィンドチャイム(windchime) を使うことによって、視覚、聴覚でとらえられるよう工夫されていたことも素敵でした。

眞島さんファンとしては、もう少し眞島さんが素敵に見えるような撮り方はできなかったかなあと思ってしまいましたし(ユン監督、眞島さんのこれまでの出演作をどれだけご覧になったのかなあ?)、少年時代を演じた鈴木仁くん、もう少し眞島さんに似た俳優さんいなかったかなあとは思いましたが、良い映画でありました。



mkm
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映画 「風に立つライオン」

最近、コンサートに行く機会にはなかなか恵まれないのですが、その分 (?) 暇を見つけては映画を見ていますので、その中で印象に残った作品について、いくつかお話ししたいと思います。


まず「風に立つライオン」。
公開当日、最初の上映を見てきました。(恐らく私の人生初だと思います)。


さだまさしさんの歌「風に立つライオン」も好きなんですが、8年前でしたか、たまたまテレビで放送された「まさしんぐワールドコンサート(ファンクラブ会員のためのコンサート)で、大沢たかおさんが「風に立つライオン」の歌が大好きで、是非映画にしたいから原作になる小説を書いてください、とリクエストされた場面を見て以来、ずっと楽しみにしていた映画だったのです。


この時すでに大沢たかおさんは、さだまさしさん原作の「解夏(げげ)」、「眉山(びざん)」の映画に出演されていて、恐らくそのご縁でのまさしんぐワールドコンサートへのゲスト出演だったのだと思いますが、このリクエストを聞いた時のさださんのハトが豆鉄砲を食らったようなびっくり顔、それに「僕、実はお医者さんの役って、結構得意なんですよね」と畳みかける大沢さんの笑顔、どっと沸く客席の様子は今も目に焼き付いています。


以来、待ち続けてようやく小説が発表されたのが2013年夏。直後に映画化の発表がされたものの、映画についての具体的な発表は昨年の秋になりました。大沢さんは今年の大河ドラマにも出演が決まっていたので、ロケに行く時間があるんだろうかと心配でしたが、ご自分で企画された映画だけに思い入れも半端なく、1ヶ月ほどのアフリカロケと数日 (?) の国内ロケをしっかりこなされ(もちろん大河の収録もしっかりこなされ)、無事に完成しました。


で、映画の感想。
まずアフリカの大地の大きさと力強さに圧倒されました。映画館の大きなスクリーンからもはみ出すスケールでした。その中で躍動する大沢たかおさんがとてもカッコ良かったですし、現地ケニアの俳優さんたちにも恵まれ、言葉の通じにくい中での撮影は難しいことも多かったと思いますが、良い作品に仕上がっていました。原作にかなり忠実に作られていましたし、作品のテーマはわかりやすくなっていたのではないかと思います。


ただ原作が数名の人物による回想録や登場人物間のメールをまとめるという形式の作品である(つまり語り手が複数いる)ため、それを映画にした時、すべてを一つの物語として流すのは難しく、ところどころ登場人物の回想も入り、そのため時系列がわかりにくくなっていたかもしれません。原作を読まずにいきなり映画を見ると、「?」と思われる方もあるのではないでしょうか。


欲を言うと、歌に出てきた「キリマンジャロの白い雪」「ビクトリア湖の朝焼け」「百万羽のフラミンゴ」とかも映していただけたら、もっと嬉しかったです。でも2時間20分の大作ですので、あれもこれも盛り込んでしまうと映画自体が長くなり過ぎて、それも大変だったことでしょう。


さだまさしさんが若き日に、実際にケニアで医療活動をされていたお医者さんからその体験談を胸躍らせて聞き、15年かけて歌にしたものが、その26年後に一人の俳優の熱意から小説化され、映画にまでなった作品を見ることができて、人と人との出会いの不思議、人から人へと繋がれていく思いの強さを感じました。そしてただ感動するだけでなく、原作に描かれていたアフリカの現実からも目をそむけず、何か自分にできることを考えていかなければと改めて思いました。





mkm







NHKスペシャル 「魂の旋律 ~音を失った作曲家~ 」

Beethoven の現代版のような方のお話です。人生の途中で耳が全く聞こえなくなりながら作曲を続ける方が、今の日本にいらしたことを予告編を見て初めて知りました。


佐村河内 守(サムラゴウチ マモル)さん、49歳。
佐村河内さんは「交響曲第1番“HIROSHIMA”」を作曲し始めた17歳の頃から聴覚に変調をきたし、35歳の時に完全に聞こえなくなったそうです。


一昨年発売された「交響曲第1番“HIROSHIMA”」のCDは音楽チャートでTOP10入りを果たし、J-POPと上位を競うなど、空前のヒットを記録したのだとか。
(この「HIROSHIMA」と横文字で書く交響曲のタイトルは目にしたことがあったと思うのですが、うかつなことにそれほどのヒット作であったとはテレビを見るまで知りませんでした)。


人生のある時期に聴力を失った方は皆さん耳鳴りに悩まれるそうです。佐村河内さんも四六時中 低音が頭の中で鳴り響いているそうで、そこからくる頭痛その他を抑えるために夥しい量の薬を服用しなければならず、薬の副作用のため体調が悪い日の方が多くて、作曲できるコンディションなのは週に3日くらい。


そのわずかな時間に、それこそ命を削るようにして作曲を続けられる壮絶な姿に圧倒され、その作品が聴く者に訴えてくる何かに圧倒されました。


体調が悪ければ、私なんか何をする気にもなれないことが多いのです。それなのに佐村河内さんは体調不良に苦しめられながらも、のたうち回るように必死に這い上がるようにして音楽を紡ぎ出そうとされる、その強さに胸打たれました。


番組後半では佐村河内さんが東日本大震災で母を亡くした一人の少女と出会い、その少女のためのレクイエムを作曲する姿が紹介されました。


彼女を慰める音楽を見つけるために苦悩する姿、体調不良と闘う姿をありのままカメラの前に投げ出すようにして紡ぎ出された旋律は、激しく、そして美しくて優しい、素敵な調べでした。全曲 聞けなかったのが残念で…。


番組HPはこちらです。
    ↓
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0331/


この番組の再放送は4月13日(土)午後3時05分~ です。私自身、もう一度見てみたいと思っていますが、本放送をご覧になっていない方は、是非是非ご覧ください。


「交響曲第1番“HIROSHIMA”」は、どこか Beethoven の音楽に通じるところがあるように思いました。こちらも全曲通して聴いてみたいと思いつつ、まだCD 購入に踏み切れておりません。それだけに重く激しい曲でした。でも「第九」の第3楽章を思い出させるような美しい旋律もありました。いつか必ず聴いてみたいと思います。ライブで聴けたら一番かも。




mkm







おススメ番組

先日、何気なくテレビをつけた時に偶然目にした番組が、今度 全国放送されるそうですのでお知らせします。


かんさい熱視線
「ほんじつ 休ませていただきます~大阪 古書店主のメッセージ~」



http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2012-12-24&ch=21&eid=13399


大阪の町で長らく古本屋を営んでおられたご主人が、体力的に毎日店を開けるのが辛くなって日曜日を定休日とされた時に、ただ「定休日」の札を出すだけでなく、「ほんじつ 休ませていただきます」という手書きの言葉と絵とともに、お客さんへのひと言を店のシャッターに貼り出されるようになりました。


これまでの「ひと言」と、ご主人とお客さんたちとの触れ合いが紹介されていましたが、それが何とも温かく、見ているだけで心が癒されました。前回は途中から見たので今回はちゃんと録画して最初から見たいと思います。皆さんにも取り急ぎお知らせします。暮れの忙しい時期ですが、もし良かったらご覧ください。




mkm




ps  11月に行ったピアノリサイタルのご紹介記事が書きかけのまま眠っています。
   何とか年内にご紹介できるよう、いろんなことを頑張っています。







映画 「トガニ 幼い瞳の告発」

この映画を見てから、もう3ヶ月近い時間が過ぎようとしています。あまりの衝撃に、鑑賞後すぐ感想を書き始めたのですが気持ちがまとめきれず、ずっとそのままに…。ようやく頭の整理がつきましたので、考えたこと感じたことをお話しようと思います。


とにかくいろいろな意味で、「すごい…」としか言いようのない映画でした。


新聞広告で、韓国の聴覚障害児学校で起こった児童への暴行や性的虐待を告発した先生と児童の物語と知り、この手のテーマがどうも気になるものですから覚悟を決めて見に行ったのですが、想像していた以上の内容に打ちのめされました。


これが事実なのか、これが本当に起こったことなのか…。
校長を筆頭に、複数の教師・学校関係者がこの件に関わっていたという救いようのない事実。
そして親の代からその土地の有力者である校長とその弟は警察にも顔がきくため、逮捕はされても裁判を有利に戦う手段を馴染みの刑事に教えてもらえるという許し難い現実。
事件を知っていた学校職員も、事実を証言すれば自分の職が危うくなるため嘘の証言をしますし、被害者である聴覚障害児の懸命の証言はなかなか取り上げられません。


そして結末も、いかにも映画的な「勧善懲悪」ではありません。
ただ最後の最後に、この映画が昨年韓国で公開されてから韓国社会に起こったことを簡潔に説明したテロップに少しほっとできたのが、せめてもの慰めでした。


この映画で被害者となったのは自分から言葉を発することの難しい子どもたちであり、彼らが学校そして寮という密室度の高い場で暮らしていたから起こったのです。しかも被害を受けたのは両親がいなかったり、親自身も障害を持っていたりで、しっかりと守ってくれる保護者のない子どもたちばかりでした。(親が子どもを守る力を持っていなかったばっかりに、学校側から示談を持ちかけられ、お金目当ての親族が簡単に示談に応じてしまったため法廷で加害者の追及ができなくなったケースもあったといいます)。


この事件が2000~2005年という、「つい最近」と呼べる時期に起こったことということに更に驚きを覚えます。何の説明もなければ、こんなにもおぞましく恐ろしい事件は遠い昔の出来事だと考えたくなってしまいますが、弱い者への虐待は、ふとしたきっかけでどこででも起こりうるのだということを改めて思い知らされました。


しかし、何よりも心揺さぶられたのは、子どもたちへの虐待の描写のリアルさだったかもしれません。目を覆いたくなるシーンがいくつもありました(18歳以下の青少年は鑑賞禁止になっているのも頷けます)。そのため見た後の衝撃が大きかったのですが、被害者役を演じていた、恐らく12,3歳であろう子どもたちの心に、この役を演じたことが深い傷となって残るのではないか。そんな不安も湧いてきました。日本ではこのような映画は作ることができないのではないか。そんなふうにも思いました。


今の日本でも、子どもたちへの性的虐待事件は後を絶ちません。被害者が泣き寝入りしていることも少なからずあることと思いますが、事件が明るみに出た場合でも新聞テレビでの報道では「猥褻行為」などと曖昧にしか表現されないため、その実像に迫ることができずにいました。だからこそ、この映画で描かれた性的虐待の残酷さ、恐ろしさ、むごたらしさに打ちのめされたのだと思います。


映画を見てすぐ図書館に原作本を予約しておいたのがようやく借りられましたので、これから読んでみます。


最後に。
この映画は原作本を読んだ俳優のコン・ユさんが「是非、映画化を」と働きかけたことによって生まれました。コン・ユさんは「コーヒープリンス 1号店」で見ただけですが、「コーヒー …」の時は「優しいお兄さん」風だったのが、この映画ではさらに大きく深い愛に溢れた「お父さん」になっておられました。病弱なひとり娘への思いと虐待を受けた生徒たちへの思いの間で葛藤しながらも、子どもたちとともに懸命に歩もうとする姿に何度も胸が熱くなるのを覚えました。


見て楽しい映画でも元気が出る映画でもありません。でも3ヶ月たった今でも、まじめにそして真剣に作られた良い映画だったと思えます。





mkm







プロフィール

そよかぜおばさん

Author:そよかぜおばさん
韓国ドラマ「春のワルツ」で描かれなかった15年間に興味を持ち、何とかこの空白を埋めてみよう!と皆さんからアイデアを頂きながら進めてきました。ドラマ後の物語(ピアニスト クリス・ユンの復活)も同時進行させています。「空白の15年」はまだ6年ほど残っていますが、「復活編」はひとまず完結いたしました。


これとは別に趣味のクラシック音楽の話、印象に残った本やテレビ番組、映画の感想など思いつくまま気の向くままにお話ししたいと思います。

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