本のご紹介 ~ 川畠成道さんのこと ~

図書館で見つけた「成道のアヴェ・マリア - ヴァイオリンの師として、父として -」

(川畠正雄著、講談社)を読み、それに続いて、川畠成道さん自身が書かれた

「僕は、涙の出ない目で泣いた」(扶桑社)を読みました。

 

実は川畠成道さんのことはヴァイオリニストであること、目がご不自由であることしか知りませんでしたし、演奏を聞いたこともありませんでした。ただ6月のイルマさんライブに来賓として来られていたので、「お近くにお住まいなのかな」と思い、何となく親近感を覚えていたのです。

 

この本を読むまでは、生まれつき目がご不自由だったのかと漠然と思っていました。それが8歳の時に罹った難病の後遺症であったこと、その過酷な闘病の過程やその間のご家族の思い、ようやく命が助かってホッとした直後に後遺症の心配が出てきたこと、そして少しずつ視力が失われていき、目の不自由な息子を独り立ちさせるためにヴァイオリニストであったお父様がヴァイオリンを教える決意をし、その猛烈なレッスンに成道さんが懸命についていったこと、その時々のお父様の思いなどが克明に記されています。

 

成道さんが病気に罹られたのはおじい様おばあ様に連れられて行ったアメリカ旅行中のことでした。おじい様おばあ様には「自分たちが成道をアメリカに連れて来なければ…」というお気持ちが恐らくあったことでしょうし、お父様も「あの時、アメリカに行くことに同意しなければ」とずっと苦しまれました。そしてそれまで自分の仕事第一で子どもたちに父親らしいことはほとんどしてこなかったことへの贖罪の気持ちもこめて、成道さんが独り立ちできるようヴァイオリンを教えることに力を注がれました。その過程での親としての悩み、葛藤、そしてそれらを超える親としてのひたむきな愛情に心打たれます。

 

一方、成道さんご本人の本には、命を助けてくれたお医者さんたちやアメリカでの闘病生活を支えてくれた人々、家族やヴァイオリンの先生方への感謝と音楽への愛が満ちています。それぞれの本に書かれている病気になってからヴァイオリニストになるまでのプロセスはもちろん同じ内容ですが、我が子を独り立ちさせるために寝食を忘れるくらいひたむきに取り組むお父様と、その思いをしっかり受け止めて、導かれるままにヴァイオリンの練習に励んだ成道さんのご本から受ける印象は随分異なります。でも、2冊でワンセットと申し上げてよい内容だと思います。

 

「マリア様は、命を取りとめた行く末は、ヴァイオリニストとなって、みなさんの気持ちを少しでもなごますという仕事を、僕に授けられたのかもしれません。(中略) 僕は、神様に決められた道を一生懸命に歩いてきたのでしょうか。そう考えると、とても不思議な気がするのです。」

という成道さんの言葉が印象に残っています。で、いつか成道さんのヴァイオリンを聞いてみたいと思っています。

 

 

mkm    

スポンサーサイト

コメント

mkmさま!!!
今更ですが、すてきな本をご紹介くださりありがとうございます。
最後の一文が胸に深く響きました。
”神様に決められた道”と思えるのは、生まれる前に神様と約束してきた道なのかもしれませんね。
メーテル・リンクの「青い鳥」の中で描かれる、これから生まれようとしている子どもたちのセリフをふと思い出し、そんなことを感じました。

私も成道さんのヴァイオリンを聞いてみたいと思いました。(本、まだ、読んでませんが・・(^^ゞ)




  • 2009-11-23 00:22
  • URL
  • ちょうちょ♪ #79D/WHSg
  • Edit

ちょうちょ♪さんへ

成道さんのご本を読んで、本当は公に向けて語れない思いもたくさんお持ちなのではとも思いました。でもそれ以上に成道さんが素晴らしい出会いに恵まれ、多くの人の祈りに支えられて今日まで歩んでこられて、そのすべて(まさに "Amazing Grace")に心から感謝されていることも強く感じました。

第三者が軽々しく口にしてよいことではありませんが、不幸せはそれだけでやって来るのではなく、その陰に必ずそれを支える人も備えられているのだと、成道さんのご本から改めて感じました。
  • 2009-11-23 18:20
  • URL
  • そよかぜおばさん #79D/WHSg
  • Edit

エフエム世田谷(83.4MHz)毎週日曜15時~16時
「川畠成道のレディオ・ストリングス」という番組にレギュラー出演中だそうです。
どんな演奏やお話をされるのでしょうか。電波の届かないところに住んでいるのが残念です。
  • 2009-11-28 08:23
  • URL
  • ピアノ♪ #79D/WHSg
  • Edit

エフエム世田谷の電波は何とか届くはずなんですが、今住んでいる家は周りの建物との関係なのか、なぜかラジオの電波が届きにくくて、家の中をラジオを抱えてウロウロ。置き場所を変えたり向きを変えたり、いろいろ試みましたがなかなかうまくいかず諦めていました。雑音覚悟でもう一度トライしてみようかな。
  • 2009-11-28 11:36
  • URL
  • そよかぜおばさん #79D/WHSg
  • Edit

昨日、うっかりしていたので3時を十数分過ぎてしまいましたが聞くことができました。
曲ごとに演奏者の紹介がありませんでしたので、ヴァイオリンソロは恐らく川畠さんではないかと思われます。
放送された曲目はベートーヴェンの「ロマンス第2番」、チャイコフスキーの「メロディー(だったかな?)」、シベリウスのヴァイオリン協奏曲第1楽章。それからヴァイオリン協奏曲の前にシベリウスの「フィンランディア」が放送されてましたが、こちらも指揮者・オーケストラともにわかりません。もしかしたら番組冒頭に紹介されたのを私が聞き落としたのかもしれません。(エフエム世田谷のHPを覗いても、この番組のHPがないので確認しようがないのです。)

用事をしながら聞いていたのであまり集中していませんでしたが、どちらかと言えば真面目そうな訥々とした語り口で、曲目解説というよりは、その曲周辺の雑談的トークという感じでした。聞く側としてはCMが多いのが少々難ですが、番組そのものはのんびり聞ける感じです。また忘れないように聞いてみようと思います。
  • 2009-11-30 15:44
  • URL
  • そよかぜおばさん #79D/WHSg
  • Edit

日曜の午後のひととき、ゆったりとした気持ちでのんびり聴ける番組なのですね。
丁寧に紹介していただき、どうもありがとうございました。
  • 2009-12-05 08:52
  • URL
  • ピアノ♪ #79D/WHSg
  • Edit

遅くなりましたが、やっと成道さんのご本を読むことができました。
第四章「ファーストアルバム 歌の翼」で、収録曲のショパンのノクターンについて「ミルシュタインがヴァイオリン用に編曲した」との記述がありました。私、弾けもしないのにこの楽譜を持っています。というのも、「春のワルツ」Disc2のピアノ奏者キム・ジョンウォンが弾く「ノクターン嬰ハ短調 遺作」がこの編曲だったからです。これがわかったのがRiebonさんのブログで、mkmさんのコメントのおかげだったのですが、覚えていらっしゃいますか。

↓ 甘く切なく美しいメロディーです。
http://www.youtube.com/watch?v=0cawxmC6o40
  • 2010-01-23 12:50
  • URL
  • ピアノ♪ #79D/WHSg
  • Edit

ピアノ♪さん
そのコメントの件、私も覚えてます。私のようなものでもピアノ♪さんのお役に立てることもあるんだ、とのビックリが大きかったものですから。^^;

川畠さんのご本で「ミルシュタイン」という名前を見た時、何となく見覚えがあったので、あの時の編曲なのかなとは思ったのですが、そのコメントを今となっては確認することができなくて、そのままにしていました。

本当にきれいな曲ですね。川畠さんのラジオをまた聴いてみたいと思いながら、何が忙しいわけでもないのに終わった頃に思い出しては、「あ~あ」ということの繰り返しです。
  • 2010-01-24 17:07
  • URL
  • そよかぜおばさん #79D/WHSg
  • Edit

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

そよかぜおばさん

Author:そよかぜおばさん
韓国ドラマ「春のワルツ」で描かれなかった15年間に興味を持ち、何とかこの空白を埋めてみよう!と皆さんからアイデアを頂きながら進めてきました。ドラマ後の物語(ピアニスト クリス・ユンの復活)も同時進行させています。「空白の15年」はまだ6年ほど残っていますが、「復活編」はひとまず完結いたしました。


これとは別に趣味のクラシック音楽の話、印象に残った本やテレビ番組、映画の感想など思いつくまま気の向くままにお話ししたいと思います。

最新コメント

FC2カウンター

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード